スポーツ走行をする際のMT車に必要なテクニックがヒールアンドトウです。速く走行するだけでなく、快適性や安全性などを保つためにも、このテクニックは使えます!
今回は、ヒールアンドトウのテクニックについて、その方法やメリット、街中での必要性などを解説します。ぜひこれを参考にして、ヒールアンドトウを習得し、颯爽としたMT車の運転を楽しんでください!
ヒールアンドトゥとは?
「ヒールアンドトウ」とは、自動車の運転テクニックの一つで、ブレーキを踏みながらエンジンの回転数を制御し、スムーズにシフトダウンする方法です。
簡単に言うと、右足のつま先でブレーキを踏み、シフトダウンの瞬間に右足のつま先の力を保持したまま、右足のかかとでアクセルを踏んでエンジンの回転数を上げ、低いギアに切り替える方法です。
人によってはかかとの代わりに右足の外側を使うこともありますが、同じ方法を指してヒールアンドトゥと呼びます。
ヒールアンドトゥするメリット
ショックのないスムーズなシフトダウンができる
ヒールアンドトゥを行うことで、スムーズなシフトダウンが実現します。この説明のために、MT車の「シフトショック」について考えてみましょう。
MT車を運転中に経験することがあるのが、シフトショックと呼ばれる振動です。シフトショックは、ギアを切り替える際に生じる振動のことです。
主な原因はタイヤの回転数とエンジンの回転数の不一致です。
エンジンブレーキを活用する
ヒールアンドトゥを使ってうまくシフトダウンすると、次のギアに下げた際にエンジンブレーキを効果的に利用することができ、滑らかな減速が可能になります。
ギアを下げると、車の抵抗が増加し、それに伴ってエンジンブレーキの効果も強まります。このため、ヒールアンドトゥを駆使することで、スムーズなシフトダウンと同時に、エンジンブレーキを活用することができるのです。これにより、急激なブレーキをかけることなく、車の減速をコントロールすることが可能となります。
すぐに加速できる
ヒールアンドトゥを実行することで、減速後に素早く加速することができます。
ブレーキをかけて減速すると、車速が低下し、エンジンの回転数も低くなります。その結果、エンジンのパワーが不足して再加速に時間がかかることがあります。
ヒールアンドトゥでは、ブレーキをかけつつもシフトダウンし、アクセルを踏むことでエンジンの回転数を高めます。これにより、減速後すぐにエンジンのパワーを活用して加速することができるのです。また、カーブを曲がった後などの再加速もスムーズに行うことができます。このテクニックによって、スポーツ走行時や様々なシーンでの運転が向上します。
快適な乗り心地を維持できる
ヒールアンドトゥを行わずに急にシフトダウンすると、タイヤの回転数とエンジンの回転数に大きな不一致(エンジン回転数の不足)が生じることがあります。
この状態では、クラッチを繋いだ瞬間に急激なエンジンブレーキがかかり、ドライバーや同乗者は前に投げ出されるような感覚を経験することがあります。しかし、ヒールアンドトゥを行うことで、このような問題を回避できます。ヒールアンドトゥにより、エンジン回転数を適切に合わせることができ、快適な乗り心地を維持することができます。
さらに、タイヤの回転数とエンジンの回転数の大きな不一致が起きると、シフトロックという状態に陥ることもあります。シフトロックは、エンジンブレーキが強すぎてタイヤがロックする状態を指します。この状態になると、車の挙動が不安定になったり、車に損傷が生じたりすることがあります。ヒールアンドトゥは、シフトダウンの際に微妙にアクセルを踏むことで回転数を調整し、スムーズなシフトダウンを実現するため、シフトロックを防ぐ役割も果たします。
同乗者も快適
ヒールアンドトゥの実行により、同乗者も快適な乗り心地を楽しむことができます。シフトショックが軽減され、振動も低減されるため、加えて加速も滑らかになります。これにより、同乗者は気持ちよく安心して車に乗ることができ、不安を感じずに過ごすことができます。
ヒールアンドトゥの手順
1. ブレーキを踏む
最初に行うのは、ブレーキを踏むことです。スポーツ走行中にシフトダウンする際は、しっかりと減速する必要があります。減速しないままシフトダウンすると、エンジンの回転数が高くなりすぎる可能性があります。ブレーキを踏む際は、指の腹や親指の付け根を使って力強く踏み込みましょう。踏み込んだブレーキの力を一定に保持することが大切です。踏み込む力が弱まると、制動距離が延びたり、車の動作が乱れたりすることがあります。
2. クラッチを切りシフトダウン
ブレーキを踏んで適切な減速を行ったら、クラッチをしっかり切ります。クラッチを切るタイミングを遅くすることで、操作が容易になります。クラッチを切ることでブレーキによる減速が進み、アクセルを使って回転数を調整する必要が少なくなります。クラッチを切ったら、クラッチを踏んだままシフトレバーを目的のギアに落とします。
3. ブレーキを踏みながらアクセルを踏む
クラッチを切った後、ブレーキを踏んでいる状態でアクセルを踏みます。アクセルを踏むのは、右足のかかとや側面を使います。ブレーキは右足のつま先のままです。ここでシフトダウンしたギアに合った回転数を目指して、アクセルを踏みます。このアクセルを踏む行為を「ブリッピング」と呼びます。ブリッピングによってエンジンの回転数を上げ、シフトダウン時のタイヤとエンジンの回転数のずれを調整します。
4. 半クラッチを使用しながらクラッチを繋ぐ
アクセルを踏んだ後、半クラッチを使いながらクラッチを繋ぎます。クラッチを繋ぐタイミングが遅れると、ブリッピングで上げたエンジンの回転数が下がり、効果が薄れてしまいます。ヒールアンドトゥを行う際には、クラッチを繋ぐタイミングをしっかり把握することが重要です。
ヒールアンドトゥの注意点
過度なブレーキングを避ける
ヒールアンドトゥをスムーズに行うためには、過度なブレーキングを避けることが重要です。
アクセルをかかとで操作するため、右足全体で強く圧力をかけると、同時につま先でブレーキもかかってしまうことがあります。これにより、ドライバーの体は前に傾いてしまう可能性があります。
ヒールアンドトゥをうまく行うためには、右足のかかとでアクセルを踏みながら、つま先を使って適度な力でブレーキをかける技術を習得する必要があります。
適切な靴を選ぶ
ヒールアンドトゥを行う際には、足の動きをスムーズにするために適切な靴を選ぶことが重要です。
ヒールアンドトゥを行う際の注意点として、特に初心者には高いかかとの靴やブーツ、革靴は適していないことがあります。最適なのはドライビングシューズですが、スニーカーでも問題ありません。
適度にアクセルを踏む
ヒールアンドトゥはブレーキを使用する技術であるため、アクセルの踏み込み具合に注意しましょう。
ヒールアンドトゥでは、アクセルを踏んでエンジン回転数を上げたまま行う技術ですので、アクセルの踏み込みは適度に保つことが重要です。
ヒールアンドトゥのペダル操作に夢中になりすぎて、周囲の状況を見落とさないよう、運転中は常に注意を払いましょう。