自動車税の納税通知書は毎年5月上旬に郵送で届きます。
万が一支払いを忘れると延滞金、さらには差し押さえが行われます。
差し押さえまでの流れとそうした場合の対応方法を解説していきます。
自動車税の納付期限
納付期限は5月末日
自動車税は車の所有者に対し課税される地方税です。
4月1日時点の所有者が翌年3月分のまでの1年分を支払います。
通常は支払い期限は5月末日となりますが、末日が土日の場合は6月に延長されます。また、一部の地域では6月30日まで延長されることもあります。
通常の納付方法
自動車税納付は指定金融機関やコンビニ払い、クレジット決済、スマホ決済、自治体の税事務所などで納付可能です。
延滞するとどうなる
支払い方法が制限される
納付期間を過ぎるとコンビニ払いが不可になるケースがほとんどです。また、クレジット決済、スマホ決済もできなくなる場合があり、残る選択肢は金融機関か各自治体の税事務所で納付のみです。そのため通常より不便になります。
車検に通らない
車検を受けるために必要な書類の一つとして「自動車納付証明書」が必要となりますが自動車税を支払わないと発行されません。そのため車検を受けられなくなってしまいます。
廃車手続きができない
自動車税を滞納している場合、廃車手続きを行う際に問題が生じる可能性があります。
廃車手続きには車検証とナンバープレートが必要ですが、自動車税を滞納していると車検を更新することができなくなります。したがって、車検切れの状態である場合、車を解体してから運輸支局で抹消登録手続きを行う必要があります。さらに、車検が切れているため公道を走行することはできず、解体業者まで車を運ぶためにも一定の手続きが必要です。
廃車手続きを怠ると、滞納した税金に対する延滞金が増加し続けることになります。そして、滞納期間が2年を超えると差し押さえの措置が実行される可能性があり、その結果として車を廃車することができなくなるかもしれません。このような状況を避けるためには、自動車税の滞納に早めに対処することが重要です。
延滞金が発生
納期限にまでに支払わないと延滞金が発生します。
延滞金は日割りで計算され、千円を超えると支払い義務が発生します。
延滞金の割合は地方ごとに異なります。
自動車税の延滞金の割合
期間 | 納期限の翌日から1月を経過する日までの期間 | 納期限の翌日から1月を経過した日以降の期間 |
平成30年(2018年)1月1日から
令和2年(2020年)12月31日まで |
2.6% | 8.9% |
令和3年(2021年)1月1日から
令和3年(2021年)12月31日まで |
2.5% | 8.8% |
令和4年(2022年)1月1日から | 2.4% | 8.7% |
延滞金の計算
延滞金 (100円未満の端数は切り捨て)= 【税額 × 日数A ×延滞金の割合(2.6%)÷ 365日】+【税額×日数B×延滞金の割合(8.9%)÷ 365日】
日数A : 納期限の翌日から1ヵ月を経過する日までの期間の日数
日数B : 納期限の翌日から1ヵ月を経過した日から納付日までの期間の日数
差し押さえられる
納期限を20日すぎたあたりで督促状が送られてきます。法律では督促状の発送日から10かすぎると財産を差し押さえるとされています。
差し押さえの対象となるものは以下のとおりです。
・銀行口座
・給料
・自動車
・不動産
銀行口座に入金された自動車税の滞納分の現金は差し押さえの対象となり得ます。すべての現金が差し押さえられるわけではありませんが、差し押さえが実行された事実は記録されます。このような履歴が信用情報に影響を与え、ローンなどの審査に悪影響を及ぼす可能性もあります。
同様に、自動車税の滞納分は給与から差し引かれるように勤務先に通知されることがあります。一度に全額が差し押さえられるのではなく、複数回に分けて差し押さえが行われることが一般的です。
もし口座や給与からの差し押さえが難しい場合、自動車自体が差し押さえられることもあります。この場合、タイヤロックなどで車が使用できない状態にされ、税金が支払われない場合には競売にかけられる可能性があります。
納付書から差し押さえまでの流れ
1:支払い期限を過ぎても納付がない場合、20日以内に督促状が送付されます。未払いの税金に対して、支払いを促す通知が送られます。督促状が到着した時点で延滞金が発生しているため、速やかに支払いを行いましょう。初回の督促状にもかかわらず納付がない場合、2回目の督促状が送られます。
2:督促状が送付されているにもかかわらず納付がない場合、催告書が送られます。催告書には延滞金や差し押さえに関する情報が含まれています。警告的な性質が強いため、速やかに支払いを行うことが重要です。
3:催告書が送られても納付がない場合、差し押さえ予告通知が届きます。この通知には差し押さえの実行日が記載されており、差し押さえの最終段階です。金融機関や勤務先などへの調査が行われ、最終的に財産が差し押さえられる可能性があります。
4:差押予告通知書を無視して自動車税を支払わないでいると、財産の差し押さえが実行されます。
対応方法
期限を過ぎた場合の支払い方法
納付期限を過ぎた場合は金融機関か各自治体の税事務所で支払うことになります。
自動車税の納付書を紛失してしまったり、督促状が届かない場合
問い合わせ先の確認
自動車税の納付書の紛失や督促状の非到達時には、普通車の場合は各都道府県の税事務所、軽自動車の場合は市区町村役場に問い合わせて、納付書の再発行手続きを行うことができます。
督促状の利用
納付期限を過ぎてから20日程度で督促状が届くことがあります。この督促状には納付書が添付されていることが多いため、これを利用して支払い手続きを行うことも可能です。
ただし、自動車税通知書や督促状が届かない場合、住所変更手続きが適切に行われていない可能性が考えられます。引越しをした場合、住所の変更手続きが必要です。過去1~2年以内に引越しを行った場合、管轄の運輸支局や軽自動車検査協会に問い合わせて、登録情報の確認を行うことを検討してみましょう。
自動車税を支払うことが難しい場合
都道府県税事務所に相談
自動車税の納付が困難な状況に直面した場合、いつまで滞納できるかを考えるよりも、納付書が届いた段階で、都道府県納税事務所または地方の税務課に分割納付の相談をすることをおすすめします。
相談する適切なタイミングは、督促状や催告書が到着する前に行うことが重要です。これは、後から「支払い意思がなかった」と誤解されることを避けるためです。支払いが難しい場合は、納付書が届いた際に直ちに地方の役所に足を運び、相談するよう心がけましょう。
地方税法第15条に基づき、以下の条件を満たす場合、納税猶予が認められ、通常は1年以内の分割納付が可能です。
- 財産が災害(地震、洪水、火災など)に遭ったり、盗難に遭ったりした場合。
- 納税者またはその生計を共にする親族が病気や負傷をした場合。
- 事業を廃止または休止した場合。
- 事業で大きな損失を被った場合。
- 類似する状況が発生した場合。
ただし、法定納期限を過ぎてから1年を経過してから課税される場合、延滞日数が税額に応じて計算され、延滞金が発生します。
クレジットカードの分割にする
分割払いも検討できますが、注意が必要です。クレジットカードを使って支払う場合、手数料だけでなく分割払い手数料もかかる可能性があります。
ただし、納期限を守らずに督促状などが届く可能性を考慮すると、分割払いを選択することは有益かもしれません。これによって、税金の滞納を避けるための時間的な余裕が生まれるでしょう。
節税のコツ
購入時期の工夫
新車登録から最初の年の自動車税は月割りで計算されます。
そのため、新車登録をする際に月末に近い日に登録すると、翌月1日に登録する場合よりも1ヶ月分多く自動車税がかかることがあります。
また、軽自動車は月割りが適用されず、各年度の4月1日時点の所有者に1年分の軽自動車税が課税されるため、注意が必要です。
軽自動車を購入する場合、4月2日の登録を検討することで、1年分の節税が可能です。
グリーン化特例の利用
電気自動車やハイブリッド車などの「エコカー」には、自動車税や軽自動車税が優遇される「グリーン化特例」という制度があります。さらに、エコカーは自動車重量税が減税される「エコカー減税」の対象にもなります。これらの特例は期間が限られていますが、エコカーを選ぶことで大幅な節税が可能です。
乗り換えのタイミング
自動車税や自動車重量税は、新車登録から13年経過すると増額される場合があります。
また、古い車はメンテナンス費用が増える可能性が高いです。
ランニングコストを抑えるためにも、増税前のタイミングで乗り換えることを検討することがおすすめです。
これらの方法を活用することで、自動車税の節約が可能となります。
ただし、各地域の税制や制度によって異なるため、具体的な情報を調査して専門家のアドバイスを受けることが重要です。