1992年に初代がデビューし、その後5世代にわたる進化を遂げてきたスバルの名車、インプレッサ。
特に高性能モデルである「WRX」シリーズは、純粋なスバルファンだけでなく、多くのスポーツカー愛好家からも熱い注目を集め続けています!
最近では初代のGC系はプレミア価格レベルのとんでもない中古車相場となっています・・・。(某漫画の影響は大きい)
過去25年間にわたる歴代スバル インプレッサとインプレッサ WRXの進化の歴史を今一度振り返ってみましょう!
セダンとスポーツワゴンで登場!初代インプレッサ【 GC/GF系】
初代インプレッサは1992年に登場し、その特徴的な要素として前後ともに横に長いライトが印象的です!
セダンとスポーツワゴンの2つのボディタイプが提供され、1.5L、1.6L、1.8L、2.0Lという幅広い排気量のエンジンが用意されました。今となっては1車種でこの排気量のバリエーション考えられないほどの多様性です・・・。ユーザーは自分の好みやニーズに合わせてかなり柔軟にボディタイプやエンジンの選択が可能でした。
1997年 初代GC系 インプレッサ WRX type RA STi Ver
約8年間と非常に長期間の販売でした。かなり見かけることは減った感じはありますが、今でもたまに走っている姿を見ると「おお!」となる車。
2.0Lのターボエンジンを搭載したスポーツモデルのWRXや、更なるチューニングが施された「STIバージョン」が多く現存しています。
人気が衰えない理由は、現代のスポーツカーに比べて軽量なボディと高出力のターボエンジン。ひと昔前の車といえど、当時の自主規制ギリギリの最高出力275psありますし速いっす・・・。
もっと言いますと、このモデルは特定のレースマンガにおいて、主人公の父親の愛車として登場しています(笑)その影響がかなり大きいとも思います。WRCでの活躍もあったので、コンディションによりますが2023年8月時点の中古車相場では500万円を超える車両も多いです。
1998年 初代GC系 インプレッサ 22B-STi Version
1998年3月に登場したのはインプレッサ 22B-STiバージョン(以下、22B)。このモデルはWRCで3連覇を達成した「インプレッサ・ワールドラリーカー’97」のイメージを忠実に再現したロードモデルで、400台限定で販売されました。価格は当時の価値からすると割高で、500万円ほど。一方で、カタログモデルのWRXタイプR STiバージョンIVが299.9万円だったため、22Bは高スペックと希少性によって話題となり、わずか2日間で完売しました(笑)。20年経過した現在でも伝説のモデルです。中古車市場ではもちろん稀少で、低走行距離かつ無修復歴の車は高額で取引されています。 22BはE型クーペボディをベースにして、WRカーのイメージを反映した専用装備(前後フェンダー、前後バンパー、リアウイングなど)を装着しています。ワイドフェンダー化によりノーマルモデルとは異なる独自の雰囲気が生まれました。22Bの魅力は外観だけでなく、STi専用にチューニングされた専用エンジン(排気量2,212cc)を搭載しています。当時の自主規制により最高出力は280psに制限されていましたが、インプレッサの弱点だった低中速トルクが大幅に改善されています。 22B専用の装備は、通常のメーカー製造ラインとは異なる場所で手作業で組み立てられ、型式も改造車扱いの「GC8改」となります。その生産台数の極端な少なさと、高い品質から、上質な個体はコレクション目的で取引されることが多く、価格は1,000万円を超えることも・・・。
2000年 初代GC系 インプレッサ S201 STi Version
2000年に登場したS201は、限定300台の販売という希少性を持っています。今となっては中古車サイトで探してもおそらく数台しか出てこない上に「応談」も多いレベルの車です。
このモデルの最大の特徴は「外観」です。フロントバンパー、サイドスカート、リアバンパーなど、周囲全体を専用のエアロパーツで装飾しています。外観だけでなく、ベースモデルの出力が280馬力だったのに対し、S201は300馬力まで引き上げられたエンジンを搭載しています。
変更盛りだくさんの力強いスペックの向上により、走りの性能も向上しています。
丸目・涙目・鷹目など、種類が豊富な2代目インプレッサ GD/GG系
2000年に登場した2代目となるGD/GG系は同じ型式でも様々な見た目のモデルが登場しました!
はじめに登場したのは「丸目」と呼ばれているモデルです。GC/GF系の横長なヘッドライトとは大きく異なり、丸い目が特徴的です。このあたりからはまだ馴染みがある見た目が多いですね。
2001年 2代目GD系 インプレッサ STi シリーズ WRX STi
2000年にリリースされたGD系インプレッサの初モデルは「前期型」として知られ、その特徴は丸目のヘッドライトです。当初は賛否両論でしたが、この丸目のデザインは当時の世界的なトレンドを反映し、メルセデスなどでも採用されていたことから選ばれました。現在は丸目ブーム的なところもあるので20年が経った現在ではデザインが再評価されています。MT車の設定が、スポーツモデルのWRXでは5MTであるのに対し、STIバージョンでは6MTとなっており、差別化が図られました。このような違いがあるからか、WRXの通常モデルの型式はGDA、STIバージョンはGDBとなりました。
各部のチューニングや専用部品によって320馬力まで引き上げられているのも大きな特徴です!
2代目GD系涙目 インプレッサ セダン STi
2002年には、新たなインプレッサモデル「涙目」が登場!その名の通り、ヘッドライトの涙のような形状が特徴となっています。涙目モデルは手の届きやすい価格設定で、最廉価モデルは129.4万円からスタートしました。
このモデルはWRCからのフィードバックも活かされています。ヘッドライト上方の傾斜と横方向の回り込みの増加によって、空力性能が向上。ヘッドライト自体も大型化され、ナイトラリーでの視界を確保する工夫が施されました。
STiモデルではエンジン性能が底上げされ、排気管からピストンの形状まで見直されました。車体の操縦安定性と剛性も向上し、WRX標準モデルもタービンの見直しによるレスポンス向上やブレーキキャリパーの変更などが行われています。STiモデルについては中期型リリース後も大幅な変更が行われ、前期モデルと後期モデルが存在します。この変更の一つには、PCDの変更があり、ハブベアリングの強化によって5穴100mmから5穴114.3mmに変更されました。PCDの変更に伴い、前後期モデルで適合するホイールが異なる点に注意が必要です。
2代目GD系鷹目 インプレッサ セダン WRX STI
GD系インプレッサの最終系である後期型は、2005年6月に登場しました。後期型は、ヘッドライトデザインが上向きに変更され、その特徴から「鷹目」と呼ばれました。 後期型は洗練された現代的なデザインが特徴ですが、マイナーチェンジの主な目的はイメージチェンジではなく、中期型同様に性能向上が図られていました。特にSTiモデルには、トルクが43kg・mまで高められ、操作しやすくなったエンジンが搭載。カーボン素材を使用したシンクロ機構の強化により、シフトフィールが向上したトランスミッションも採用されました。これによって、非常に現代的で快適な乗り味が実現しました。さらに、WRX STI Spec C Type RA-Rなど、多くの特別仕様車も限定販売され、高い性能を求めるユーザーにも満足できるラインナップが揃いました。 多くのモデルチェンジを経て成熟した後期型は、信頼性も格段に向上しており、トラブルを避けたいユーザーにもおすすめの選択肢です。
5ドアモデルが初登場した3代目インプレッサ GE/GH/GR/GV系
セダンとスポーツワゴンの2つのボディタイプで展開されてきたインプレッサが、3代目のGH系として、全く異なる変化を遂げました!その変革の中心には、5ドアの「ハッチバック」が加わったことが大きな変化です。以前のGD/GG系が持っていた鷹目のデザインに続き、GH系でも1.5Lモデルと2.0Lモデルのバリエーションが提供されました。
ただ、以前はスポーツモデルとして人気を博していた「WRX」は選択肢から消え、その代わりに「S-GT」という2.0Lターボエンジンを搭載したモデルがラインナップに追加されました。一方で、高性能なSTIバージョンの後継として、GR系が市場に登場しました。GR系には、これまで通りの2.0Lターボエンジン(EJ20)を搭載したグレードと、ATのみですが2.5Lターボエンジンを搭載したモデルも登場しました。
GE系は従来通りセダン愛用者に向けた選択肢として、GH系は日本のトレンドに合わせた実用的なハッチバックとクロスオーバーとして、そしてGV系・GR系はスポーツカー志向のユーザーに向けた高性能モデルとして、多様なユーザーのニーズに満たす幅広い車種が展開されました。
3代目GV系 インプレッサ WRX STI
その後、2010年にはスポーツ愛好家が熱望していたセダン型のSTIバージョン、「GV系」が市場に投入されました。このモデルには、GR系と同じく2.0Lまたは2.5Lのターボエンジンが搭載されました。この新たなモデルの登場によって、インプレッサシリーズは多岐にわたる需要に合致する広範なバリエーションを提供できるようになりました。
3代目GR系 インプレッサ WRX STI
以前のモデルではWRX STIはセダンのみで提供されていましたが、3代目ではハッチバック(GRB/GRF)も採用されました。これは、3代目インプレッサ WRX STIがWRC(FIA 世界ラリー選手権)でのチャンピオンシップ奪還を目指し、旋回性を重要視したためです。セダンは高速での安定性やボディ剛性に優れる一方で、ラリーのような多くのコーナーを駆け抜ける状況では、リアオーバーハングが短いハッチバックが有利とされました。その証拠に、現在のWRCではほとんどの車種がハッチバックを選択しています。
歴代インプレッサ体系まとめ
【初代 1992年~2000年】 車両型式:GC系=セダン/GF系=ワゴン エンジン:EJ型
【2代目 2000年~2007年】 車両型式:GD系=セダン/GG系=ワゴン エンジン:EJ型・EL型
【3代目 2007年~2011年】 車両型式:GE系=セダン/GH系=ハッチバック GV系=セダンのSTIモデル/GR系=ハッチバックのSTIモデル ※GH系の関連モデルとしてインプレッサXVが登場 エンジン:EJ型・EL型
【4代目 2011年~2016年】 車両型式:GJ系=セダン/GP系=ハッチバック ※GP系の関連モデルとしてXVが登場 ※この代からWRXがインプレッサとは別の車種として独立する エンジン:FB型
【5代目 2016年~ 】 車両型式:GK系=セダン/GT系=ハッチバック エンジン:FB型
【6代目 2023年~ 】 車両型式:3BA/5AA ハッチバックのみの展開(G4は終了)